第2章
誕生前夜
暗号と自由と、リーマン・ショック
1980年代 〜 2008年
その1 デジタル現金の夢1983
1980年代。暗号学者デビッド・チャウムは、だれが何を買ったか分からない「デジタルの現金」を考えた。
1990年、会社「DigiCash」を設立。銀行と組んで、試験運用まで進んだ。
1998 倒産
でも、会社が管理する仕組みだった。会社がつぶれれば、お金も消えてしまう。
その2 二重支払いの壁COPY
デジタルのデータは、かんたんにコピーできる。お金がデータだったら……?
同じお金を何回でも使えてしまう。これが「二重支払い」。デジタル現金の最大の壁だった。
管理者なしで防げるか?
管理者を置けば防げる。でもそれでは、DigiCashと同じ弱点を抱える。その方法を、だれも見つけられていなかった。
その3 サイファーパンクたち1992
暗号好きのメーリングリスト「サイファーパンク」が始まる。合言葉は「プライバシーは、暗号で自分たちで守ろう」。
1997年
Hashcash
アダム・バック
迷惑メール対策。送る側に「ちょっとした計算」をさせる。プルーフ・オブ・ワークの原型。
人物図鑑で見る ›1998年
b-money
ウェイ・ダイ
参加者全員で帳簿を持ち合う、管理者のいないお金の構想。
人物図鑑で見る ›1998年〜
bit gold
ニック・サボ
計算の結果を、金(ゴールド)のように「掘り出す」デジタル資産の構想。
人物図鑑で見る ›2004年
RPOW
ハル・フィニー
プルーフ・オブ・ワークを、使い回せるトークンにする試み。
人物図鑑で見る ›このアイデアたちが、やがてビットコインの部品になるんだ。
その4 2008年、世界金融危機2008
2008.09.15
大手投資銀行リーマン・ブラザーズが破綻。世界中に金融危機が広がった。
ドーン!!

ニューヨークにあった、リーマン・ブラザーズの本社ビル。
写真:David Shankbone / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
各国の政府は税金で銀行を救い、中央銀行は大量のお金を刷った。
当時の実物 ・ 掲示板への投稿(2009年2月)
Satoshi Nakamoto ・ P2P Foundation
The root problem with conventional currency is all the trust that's required to make it work.
和訳:従来のお金の根本的な問題は、それを機能させるために必要な「信頼」の多さにある。
サトシの文章のアーカイブ ↗そしてその秋。暗号のメーリングリストに、1通のメールが届く。